リサーチで高める、意思決定の質と確信
大学の頃、師事した教授が統計とマーケティングリサーチの会社を立ち上げている方で、そこから一貫してリサーチを軸に据えてきました。
リサーチの面白さは、自信を持って意思決定できるようになることだと思います。情報を集め分析することで道筋を示し、実現したいことに対するアカウンタビリティを高められる点に魅力を感じています。
会社が小規模なうちは意思決定が阿吽の呼吸で進むかもしれませんが、ある程度大きくなると、きちんとした根拠が必要になります。私はこれまでずっとBtoCの分野でキャリアを積んできましたが、BtoBになると、調査の対象が「個人」だけでなく「企業」にもなるため、また違った難しさがあります。
リサーチのフローとしては、まず調査課題を決めることから始まります。経営戦略や事業戦略の中で、何かを調べたいというタイミングがあるので、その課題を調査設計に落とし込んでいきます。そこから実際に調査を実施してレポートにまとめていきます。
ネットリサーチであれば、最短で調査票の作成が1日、調査会社がアンケートを実施するのに1週間程度かかります。このプロセスの中で、「何を明らかにするか」という課題設定が最も重要だと考えています。
私自身、マーケティングリサーチに関してはほぼすべての分野を経験してきたという感覚があります。リサーチは過去を調べて未来を描くものです。だからこそ、未来を見越して今どういうデータを揃えておくべきかを常に考えながら仕事をしています。

SmartHRに入社した当初はストラテジーユニットに所属し、中長期を見据えたブランド構造・ブランドポートフォリオの構築などを推進しました。現在は、その時々の状況に応じて仕事内容が決まっていく形で、ストラテジーが7割、リサーチが3割程度の比率でバランスを取っています。とはいえ、実際には分野の境界線はそれほど明確に決まっているわけではなく、中長期のストラテジーから、状態目標の設定など、リサーチを軸にさまざまに対応しています。
常に先んじて考えてアウトプットを出すことで、充実した議論ができる
これまでのキャリアを振り返ると、成長が鈍化してきたと感じるタイミングで転職を選択してきたのかな、と思っています。常に新しいことに挑戦していきたいんです。
自分の中で、大きなキャリアの転機となったのは3社目で事業会社に転職したときでした。6、7年ほど前のことですね。
それまでは受託でリサーチを行う会社で働いていましたが、リサーチを外部から行っていると見えないことも多いんです。事業会社に入ってみると、様々な気づきがありました。
事業会社では、意思決定するときに見なければならない範囲がとても広くなります。第三者としてリサーチをするのと、自分が主体的にリサーチの意思決定をしていくのとでは大きな違いがあります。リサーチ会社の立場では、調査結果からある程度の示唆は提供できても、情報が限られていることも多いからです。

仕事をする上で「信頼」を最も重視しています。信頼関係がなければ情報は集まりませんし、何かを実行するにあたっても、信頼がなければ周囲に動いてもらえません。
また「スピード感」も非常に大切にしています。早めにアウトプットを出せば出すほど、議論の余地も生まれますし、成果が出るのも早くなりますよね。逆に、アウトプットが遅いと、それだけで機会を逃してしまうこともある。
なので、常に先んじて考えておくこと、を意識しています。
例えば、誰かに「こういう相談をしたい」と言われたら、実際にミーティングが行われるまでの間に、データベースや関連資料を読み込み、なるべくたくさん情報を集めて思考しておくんです。そうすると、初回のミーティングのタイミングから深い考察が進められるようになります。
さまざまな種類の案件に関わり経験を積むことで、リサーチの仕事におけるアウトプットのスピードが速くなると思っているので、日々の業務を素早く処理することを習慣化しています。「この案件は何時間で終わるか」といった時間配分も意識しながら、仕事に取り組んでいます。
速く、そして先回りをして的確なアウトプットが出せるようになれば、その分信頼度も高まります。もちろん、会社の事業成長のスピードを上げることにも貢献できるので、信頼とスピードを意識することは、私の中でセットで考えている仕事のこだわりかもしれません。
それに、アウトプットを出すことは、自分が何者なのかを周囲に理解してもらうためにも大切です。提案やアウトプットを継続的に出していくことで、自分の得意分野も可視化されていくと思います。

もともと自分の性格として、全力を出していないと不安になるタイプなんです。
人のスキルというものは、放置していると陳腐化していきます。常に新しいことに挑戦して、学びと経験を得ながら成長することをサボってしまうと、将来自分が役に立たない人間になってしまうかもしれません。
ここ最近は、AIがどんどん進化していますよね。AIの普及によって単純業務は淘汰されていくだろうと思う一方で、事業の推進にあたって課題を定義することは、今後も人間の仕事として残っていくと考えています。課題の定義は、経営層や周囲の人との対話を通じて見出していくものだからです。
何が良くて何が悪いかを見分けることも、人間にしかできない仕事だと考えています。
だからこそ、日々新しいことを学び挑戦しながら、時代の変化や会社の状況の変化を肌で感じ取り、自分の考え方や価値観をアップデートして仕事に落とし込んでいくことには、手を抜かない自分でいられたら、と思います。
メンバーが自分よりも優れた成果を出せるよう、前向きに導くのがマネジメント
2025年の4月からチーフに就任しました。チーフとして意識しているのは、メンバーの強みを伸ばし、自分よりも優れた成果を出してもらうことです。
これまで働いていた会社でもマネジメントは経験してきましたが、メンバーに自分よりも優れた結果を出してもらうこと、を重視するようになったのは前々職で専門分野の異なる複数の部署のマネジメントを兼務していた経験からです。
特に自分の専門外の分野では、メンバーに任せてもきちんと結果が出ることを考えられるかどうかがポイントだと思います。その分野における専門性のない自分が干渉しすぎることで、ボトルネックになってしまい進捗が滞ることは避けたかったんです。

これまで幸いにもメンバーからは、良い上司だと言ってもらえることが多かったと思います。マネジメントにはさまざまなやり方があると思いますが、私はいつも、メンバーのモチベーションを下げずにきちんと見守ることを心がけています。
なので、新しくチームに加わった人には、何に怒り、何に悲しみ、何に喜ぶのかを最初の1on1などで聞いてみて、その人が感情的に嫌だと感じる仕事はなるべくアサインしないようにします。もちろん、成長に必要なことであればやってもらいますが、そうでなければモチベーションが下がってしまい、本来その人が強みとすることを活かせなくなってしまいます。
仕事って、気合や根性も大事ですが、最終的にはやる気を持って取り組めるかどうかが一番大事だと思うんです。手を抜こうと思えばいくらでも抜けてしまうので、いつも前向きなモチベーションで臨むことは非常に重要です。
それをどう牽引できるかが、私のマネジメントのテーマです。
SmartHRのエッセンスを、さまざまな企業に広めていきたい
私は、SmartHRのビジョンが大好きなんです。これまでずっとハードワークが求められる環境で働いてきましたが、その経験を通して「働く」ということそのものを良くしたいという想いがあったので、それに携われることにやりがいを感じています。このSmartHRのエッセンスをさまざまな企業に広めていきたいと考えています。
SmartHRのプロダクトを多くの企業に使っていただければ、様々な労働関連データが集まります。そのデータを活用して、人々が働きがいを持って働ける会社を選べるような世界を作りたいんです。
そのためにはプロダクトの大幅なシェア拡大が必要不可欠ですが、SmartHRのプロダクトと組織能力があれば、そのくらいの規模を目指せるのではないかと思っています。

SmartHRで働く一員として、自分の影響範囲をもっと広げていきたいという思いもあります。
これまでSmartHRのプロダクトは労務管理が中心でしたが、そこにタレントマネジメントが加わりました。これらをスケールさせ、アカウンタビリティを持たせるために、様々なデータを提供して判断できるようにしていきたいと考えています。
ストラテジーユニットとリサーチ&インサイトユニットでは「何をKPIにするのが良いだろうか」という相談をさまざまな部署からいただいています。ストラテジーの相談からリサーチの相談まで幅広く対応しており、個人に仕事が紐づいてしまうという課題はあるものの、全体としては順調に回っています。
先ほど信頼についてお話ししましたが、さまざまな関わりの中で私たちのチームを信頼していただくことで、関わることができる範囲がどんどん大きくなっていくと嬉しいです。

取材・文/@Miranda(カルチャー室)
写真/@ishimayu(カルチャー室)





