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迷ってもいい! SmartHRで活躍する女性3人のリアルから紐解く、自分らしいキャリアの歩き方

「これでいいのかな」と、キャリアの岐路で立ち止まることは、決して後退ではありません。SmartHRで重要な役割を担う3名の女性も、育児や転職、前例のない挑戦のたびに、リアルな葛藤に直面してきました。

どうすれば不安を乗り越え、自分らしい意思決定ができるのか? その鍵は、一時的な感情に流されない「中長期的な視点」と、心身の健康を土台とする「柔軟にアップデートし続ける判断軸」の獲得にありました。持続的なキャリアを可能にする力を手に入れた彼女たちの道のりを、赤裸々な対話から紐解きます。

スピーカー

事業戦略統括本部/戦略企画本部/事業企画ユニット Chief
chinapon(写真左端)
コンサルティング会社等を経てSmartHRに入社。既存事業や組織の大きな課題解決に向けたプロジェクト推進や、海外事業開発などを広くリードする。

技術統括本部/プロダクトコンテンツ部 Manager
8chari(写真中央左)
製造メーカーのテクニカルライターを経て、SmartHRに入社。現在はプロダクトを正しく使うための情報コンテンツをわかりやすく届ける責任を担う。

CFO直下(コーポレート)/コーポレートエンジニアリング本部 Director
sugisama(写真右端)
SIerやゲーム会社など9社の転職を経験し、SmartHRへ入社。現在はITの知見を活かして自社組織の基盤づくりや環境整備を牽引する。

ファシリテーター

人事統括本部/人材・組織開発本部
rokumegu(写真中央右)

20代の予想を覆した現実|ライフイベントと時代の制約が突きつけたキャリアの壁

rokumegu:本日のテーマは「女性のキャリア」ですが、タイトルをあえて「迷ってもいい!」としています。ライフイベントやキャリアの壁に直面した時のリアルな葛藤、それを乗り越えるための判断軸や具体的なエピソードを、スピーカーの3名に深く掘り下げてお伺いしたいと思っています。

まずは、皆さんが20代の頃に思い描いていた将来の姿と、現在のご自身の姿を比べることがあればお伺いします。

最初はchinaponさんにお聞きします。chinaponさんは仕事とお子さんの育児をされていますが、いかがでしょうか?

chinapon:20代の頃は、今ぐらい先のことはあまり想像できていませんでした。ただ、もっとキャリアを積めばもう少し効率的に子育てと仕事をコントロールできるだろうと楽観視していたと思います。

実際に子どもを出産して気づいたのは、育児と仕事の両立という点では、自分の能力だけでは処理できないような変数がたくさんあるということです。

子どもたちが小さい頃の主な悩みは健康面や食事面のことでしたが、長女が小学校6年生になった今は、勉強面やお友達関係の悩みなども出てきて思考の複雑性が増しました。

その結果、自分が「やらないこと」や「やりたいけど手放すこと」が増えて、意思決定の選択基準がすごくシビアになったと感じています。

ただ、そのおかげで、限られた可処分時間の中で成果を出すことや、優先順位づけを強く意識するようにはなりました。

rokumegu:育児の変数の中でシビアに優先順位をつけてこられたchinaponさんのお話、非常にリアルですね。

sugisamaさんはこれまでに多くの転職を経験されてきたと伺っていますが、20代の頃に思い描いていた将来像とのギャップはありましたか?

sugisama: 当時は全く想像がついていませんでした。まず、自分が管理職になること自体、思い描いていなかったですね。

というのも、当時はまだ男性社会の残り香が強く、女性が昇進・昇格しづらい状況がありました。女性が育休から復職すること自体が珍しい時代で、誰かが戻ってくると「え、戻ってきたんだ!」と周囲で噂になるほどだったんです。

転職活動をした際にも、エージェントから「30歳での転職は遅いですね」と言われたり、「若い男性に決まってしまいました」と断られたりして、ショックを受けたこともありました。

女性が働き続けることがまだ当たり前ではない時代だったので、未来のキャリアを冷静に考える余裕はなく、目の前の仕事を続けるだけで精一杯でした。

rokumegu:当時の業界ならではの働き方も影響していたのでしょうか?

sugisama: それもありますね。当時は業界全体がハードワークでした。開発からインフラエンジニアに転向した後も、毎日夜の10時や11時まで働くのが当たり前という環境で。

心のどこかに「男性と同じようにハードに働かなければ認めてもらえない。そうしなければ良い仕事がもらえず、キャリアにも悪影響が出てしまうのではないか」という不安や思い込みが、潜在的にあったのだと思います。

市場価値の焦りを断つ|心身の健やかさを土台にしたキャリアの選択

rokumegu:周りの環境も相まって、無意識に「こう働くのが正解なんだ」と自分を追い込んでしまう。そんな不安や思い込みは、多くの人が共感できるポイントだと思います。

8chariさんも、それまで信じていた「正解」やキャリアへの焦りから、ギャップを感じる転機があったそうですね?

8chari: 振り返ってみると、「こう働くのが正解」と思い込んでいた時期があったな、と感じます。

新卒で入社した会社では、業務の幅を広げてもらいながら多くのことを学ばせてもらいました。

やりがいも大きかった一方で、「自分は社外でも通用するんだろうか」という焦りや停滞感が常にありました。

転職活動をしたものの思うようにいかない時期が続いたこともあり、「このままでは、自分の市場価値も伸び悩んでしまうのでは」と不安が強まっていたんです。

さらに昇進したタイミングで見える景色が変わり、組織やマネジメントについて自分なりに考える機会が増えたことも重なって、「このまま、ここで働き続けることだけがすべてではないかもしれない」と考え始めました。

それが、今の環境に固執しすぎなくてもいい、と自然に思えるきっかけになったんです。

過去に夫が心身の不調で働けない時期があり、「人は誰しも何かがきっかけで働けなくなることがある。心身の健康を失う方が取り返しがつかない」と痛感していた経験も大きかったです。

幸い貯金もあったので、すぐに生活できなくなるわけではない、と視野が広がり、次の就職先を決めずに一度離れてみる、という決断ができました。

rokumegu:次のあてを決めずに退職! 焦りや不安はなかったですか?

8chari: 全くなかったと言えば嘘になります。「このブランクが経歴にどう映るだろう」と、ふと不安がよぎることもありました。

ただ、休んだ期間にじっくり自分のキャリアと向き合えたことで、やはり組織で働きたいと思えるようになりました。

何より、自分が納得できない働き方で自分をすり減らさなくていい、と自分に許可を出せたことが一番の収穫です。一度キャリアを休んでも、積み上げてきたものは消えないし次につながる。当時の私にとって本当に大きな救いでしたし、立ち止まって選択肢を考えた時間は決して無駄ではなかったと思っています。

rokumegu:自分自身に許可を出す。本当に大切な視点ですね。

孤独な闘いからの解放|感情に流されないキャリアの「客観的な判断軸」

rokumegu:sugisamaさんも同じく「限界だ」と思うような経験をされたそうですね。当時の環境について教えてください。

sugisama: ゲーム会社時代、育児をしながら24時間365日の運用保守を担当していました。夫も同業で忙しく、夜泣きとシステムアラートが重なる毎日で、まさに心身の限界でしたね。システムが1時間止まれば数千万の損失が出るプレッシャーのなか、上層部は育児への理解が乏しく、悲しい言葉をかけられることも少なくありませんでした。

夫と相談し、「自分たちの努力だけでは埋められない、これは環境とのミスマッチだ」と気づいて会社を去る決断をしました。ただ、ITに関わり続けたかったのでその軸はぶらさず、「社内IT」へ転向してキャリアを再構築したんです。

当時は、途中で辞めるのは迷惑をかけるという思い込みが強かったですし、女性がいない職場で相談相手もロールモデルもいませんでした。

人事を介して相談する発想すら、当時の私にはなかったなと今振り返ると思います。

rokumegu:自分の軸を見極めて選択をした、ということですね。加えて、自分の環境への孤独感や「こうでなくては」という思い込み、今の時代でも共感する方は多そうです。

chinaponさんは、第一子の出産・復職という大きな変化の中で葛藤を経験されたそうですね?

chinapon: 3社目の時、第一子を出産しました。妊娠が判明したのはその会社への転職前日だったんです。会社に迷惑をかけたくない一心で、早い時期に職場復帰をし、フルタイムに戻す条件でいただいた管理職へのオファーも引き受けました。

当時はリモートワークがなく毎日出社。保育園の延長保育終了ギリギリまで娘を預けているのは我が家のみという状態でした。保育園への送り道、2歳の娘が「一人ぼっちだからやだ」と泣く日が続き、「この働き方でいいのか」と毎日強く葛藤していました。

悩んだ末、夫に相談したところ、「今は罪悪感を感じるかもしれないけど、子どもはすぐ大きくなるし2歳の頃のことは覚えていないよ。中長期的な目線で長いキャリア人生を考えたとき、ここでキャリアを変えることが本当にいいことなの?」と言われ、ハッとしました。

この言葉で目の前の罪悪感による焦りから抜け出すことができ、エージェントなど外部の客観的な意見も聞きながら、中長期的な観点で自分のキャリアを冷静に判断できるようになったと思います。

rokumegu:皆さんが、目の前の葛藤にただ追われるのではなく、心身の健康や中長期的な視点という、ご自身のブレない判断軸を確立されたことが、よく伝わってきました。

ここからは、その軸を得たからこそ踏み込めた、皆さんのキャリアにおける「最大の挑戦」について伺います。

役割の変化がもたらしたリターン|越境への挑戦で得た「強い自信」と「長期的視座」

rokumegu:8chariさんにとっての最大の挑戦は、SmartHRでマネージャーに挑戦したことだそうですね。

8chari: はい。私はもともとプロダクト開発の現場でライターとしてキャリアを積んできたため、マネジメントへの役割を打診された時には、専門職としてのキャリアはどうなるんだろうという不安がとても大きかったです。プレイヤーの道を突き詰めることを手放すように感じられ、今でも上手くできずに落ち込むこともあります。

それでも挑戦して良かったのは、「自分の手で状況を変えられる」という選択肢を持てたことです。

私は違和感を抱えたまま何も変えられずにいるのが苦しいタイプなので、自分の意思決定でチームをより良く変えていける可能性を手にできたことは、すごく幸せだと感じています。

自分一人では到底成し遂げられなかった大きな規模の施策を、部の皆さんと一緒に形にできている実感もあります。

そして何より、自分が健やかでなければ良い組織は作れないと気づき、セルフケアを重視するようにもなったことが大きな変化です。結果が出るまでの時間軸が長く、早く結果が欲しい私には最初は戸惑いもありましたが、それも含めて視野を広げてくれる大きな経験になっています。

rokumegu:自分の手で状況を変えられる幸せ、素敵なリターンですね。

続いてchinaponさん、キャリアの大きな転換期となった挑戦について教えてください。

chinapon: コンサル会社から事業会社へ転職し、海外事業開発を担当したことです。お客様を支援する立場から当事者として自ら意思決定を行う立場になったのは大きな変化でした。

進出の是非すら決まっていない状況で「2ヶ月後に展開を判断するための調査をしてほしい」と求められ、完全なゼロイチでした。How(どう解決するか)を突き詰めるコンサル時代とは違い、そもそもゴールをどこにするか自分で決めなければならない未知の領域でしたが、限られた予算のなか知り合いのツテなどもたどって泥臭く形にしていきました。

この経験から得られたのは、「自らゴールを定義して、道路を作るようなところからでも自分はできる」という強い自信と、どんな状況でもやり抜くメンタルタフネスです。当時は苦しくて辛い時もありましたが、今思い返すと自分の可能性を広げてくれた良いチャレンジでした。

自分一人で解決できなそうな悩みごとがある時は、解決の糸口を知っていそうな人やモヤモヤを伝えても良さそうな人に自分の考えをぶつけて思考を整理するようにしています。

rokumegu:最後に、sugisamaさんにとっての最大の挑戦は何でしょうか?

sugisama: 私は転職回数が多く色々な現場を経験してきましたが、なぜか行く先々でたまたま上司がいなくなっちゃうことがすごく多くて(笑)。

でも、上司がいないとなれば否応なしに自分が上司と同じ目線に立って仕事をしなければいけなくなります。そういう窮地をピンチのまま終わらせず、「成長につながるチャンスだ」と捉えて乗り越えてきた経験が、結果的に自分を育ててくれました。

その積み重ねのなかで、一番直近の大きな挑戦が今期のダイレクターという役割です。

半年や1年といった目先のことではなく、数年先のスパンで組織の戦略や方向性を考えなければいけないのですが、これは今までの人生で本当にやったことがなかった領域でした。もしここで自分が方向性を見誤ってしまうと、組織の相当なリソースを無駄にしてしまうという大きな不安が常に頭をよぎるので、今が一番のチャレンジだと感じています。

ですが、会社の大きな方向性を自分で掴みにいくことで、自分自身の視座が大きく変わりました。それ自体が良いリターンですし、何より中長期的な視点に立ったことで、メンバーが成長している姿をはっきりと実感できる大きな喜びを得られました。メンバー自身が自分の成長に気づいて言葉にしてくれる瞬間が、今の私にとって最高のリターンです。

意思決定の羅針盤|貢献、成長、そして持続可能な健やかさ

rokumegu:その視座の変化は、まさに皆さんの「意思決定の結果」そのものですね。最後に、現在の皆さんの意思決定やキャリアの軸について教えていただきたいです。

sugisama: 一言で言えば「今、自分がその組織でいかに役に立てるか」です。20代の頃は自立のために稼ぐこと自体が目的でしたが、今は大きく変化しました。

自分が個人としてどうキャリアアップするかよりも、会社や組織が望んでいることに対してどういう形で貢献できるか、や、与えられた期待役割にどう役立てるかを一番の判断軸にしています。

rokumegu:組織への貢献、Directorとしてのブレない強さを感じます。続いてchinaponさんはいかがですか?

chinapon: 私には10年以上変わらない3つの軸があります。

1点目は、好きなことでないと熱量を込められないので「自分が興味を持ってやりたいと思えるか」。

2点目は、組織に還元するために「自分の過去の経験が活かせるか」。

3点目は、さらに「自分自身の成長のために、新しく得られるものがありそうか」です。

子どもが生まれてからは、4点目の軸として「子どもに対して胸を張って説明できる仕事内容か(世の中にポジティブなインパクトを与えているか)」という視点も新しく加わりました。

rokumegu:ライフステージの変化で軸がさらに深まったのですね。最後は8chariさん、いかがでしょうか。

8chari: 私は「自分を更新しながら、持続的に働き続けられるか」を一番の軸にしています。そのベースにあるのは、心身の健やかさです。

若い頃に身近な家族との別れを経験し、健康は当たり前ではないと痛感しました。さらに、夫がメンタルを崩して働けない時期を支えた経験から、「心の安定こそがすべての基盤になる」と確信するようになりました。

組織の成果も大切ですが、自分という土台が崩れてしまえば、長期的な貢献も幸せも成立しません。無理を重ねて自分をすり減らすのではなく、自分の状態を整えながら前に進むことを何よりも大切にしています。

rokumegu:心身の健やかさを土台にするというお話、全員の軸の根底に通じる本当に大切な視点ですね。

それでは最後に、今まさにキャリアに迷う皆さんへ、お一人ずつメッセージをお願いします。

chinapon: 今日お話しして改めて三者三様のキャリアがあると感じました。ただ、私自身も決して完成形ではなく、まだまだアップデートの途中です。

皆さんと一緒に、これからも悩みながら一歩ずつ進んでいければと思います。

8chari: 歩んできたキャリアは人それぞれ違っても、悩んでいることやつまずいていることには、たくさんの共通点があります。だからこそ、一人で抱え込まずに誰かに話してモヤモヤを整理することは、とても大事だと思います。

SmartHRにはSmart相談室のような制度もありますし、社内の仕組みや周りの仲間をぜひ頼りながら、自分を大切に歩んでいってほしいです。

sugisama: 自分なりのピンチはそれぞれあると思いますが、それをチャンスに変えられる力が必要なのではないでしょうか。

ライフイベントも仕事も思い通りにいかないからこそ、自分なりのピンチをチャンスに変えられる力が大切。周りの力を借りつつ、取り組めると成長につながるんじゃないかなと思います。

取材・文/Tomari(DEIBユニット)
写真/Miranda(カルチャー室)

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