現在の業務
2025年に立ち上がった「IT企画ユニット」でチーフを務める。社内の課題に対して、企画から運用設計までのゼロイチの部分を担い、後続の担当となる専門部署と連携することを目指している。
目次
未経験から情シスのキャリアへ
2019年11月にSmartHRに入社しました。それ以前からずっと情シスだったわけではなく、大学卒業後すぐには就職せずに約2年間アルバイトをした後、2015年にとある公的機関に正規職員として採用され、情シスとは全く関係のない業務に従事していました。打算的に就職活動を行ったこともあり、組織風土や働き方に大きなギャップを感じ、同年の12月には退職してしまいました。
その後、2016年1月にIT企業にアルバイトとして入社しました。当時の募集は「PCに強い総務」というものでした。その会社が上場してすぐの時期で、当時は専任の情シス担当者がいなかったんです。情シス未経験でも、アルバイトなら中学生の頃からPCを自作していた経験を活かせるだろうということで応募しました。入社後は、総務や開発の社員が兼務していた情シス領域の仕事を少しずつ引き受けていきました。アルバイトから契約社員を経て2017年に正社員になり、ここから本格的な情シスとしてのキャリアがスタートしました。

情シスの仕事は幅広く、「電気が通っているものなら何でも情シス」と言われることもあります。PCの準備や故障対応などのトラブルシューティング、アカウント管理なども含めたヘルプデスク業務はどの会社でも必要とされています。それだけではなく、例えばシステムの入れ替えや運用変更など、会社の変化に合わせて仕組みをアップデートしていく改善活動も重要な役割です。
情シスの仕事は企画から運用まで幅広く、どこまでを担当するかは会社や人によって異なります。
SmartHRの場合、最近ではAIの活用やセキュリティ強化の施策に注力しています。
SmartHRのような変化の多い環境では、現在の課題への対処だけではなく、情シスの専門性と組織や事業への理解を組み合わせ、中長期の視点で会社の成長に必要な投資を考えていくことも必要です。
IT企画ユニットの立ち上げは、会社成長を見据えた新たな挑戦
現在、私はコーポレートエンジニアリング部IT企画ユニットのチーフを務めています。IT企画ユニットは今年から立ち上がったばかりの組織で、まだ方向性を手探りしている状態です。

変化の大きな会社では様々な課題が日々発生し続ける中、誰がそのボールを拾うか決まっていないことも多いです。SmartHRはSaaSを提供するIT企業であり、プロダクトだけではなくビジネスからバックオフィスまでのあらゆる業務でITが関係しています。情シスとしての専門性を活かして、ITを切り口に間に落ちるボールを取りに行き、企画から運用設計までのゼロイチの部分を担い、後続の担当となる専門部署と連携するのが私たちの役割です。
このユニットができた背景には、会社の成長と拡大によって課題の複雑性が増していることがあります。現在はIT企画とIT Opsの2つのユニットに分かれていますが、2024年まではコーポレートITという1つのユニットでした。私自身は2年程前から個人のミッションとしてIT企画的な動きをしていましたが、会社が大きくなるにつれて、この領域をチームで行う必要性が高まりました。スピードを落とさずに企画と運用改善を同時並行で行うため、それぞれに集中特化していくべきだという流れがあって、組織化しようという動きになったんです。
情シスの枠を超え、会社の成長を支える姿勢を持つ
私が仕事をする上で大切にしていることは、情シスやセキュリティという専門性の枠にはまりすぎないことです。専門性の中でのあるべき論だけではなく、「会社のために必要なこと」をやるのが基本だと考えています。
SmartHRでは既に5年以上働いていますが、この先もその成長を見続けたい気持ちがあるからこそ、役割にとらわれずに会社や事業の成長を阻害する要因を排除していきたいと思っています。またボトルネックの解消だけでなく、プラスできるものは何か、それに値する役割は何かを考え、自分の専門領域であるITという分野を軸に柔軟に関わっていきたいんです。
情シスの領域の情報だけでなく、会社の状況を常にキャッチアップしておくことが重要だと感じています。
そのためにも、個人的なこだわりではありますが、基本的に依頼された仕事は断らないようにしています。そのうえで、相手の置かれている状況や依頼のコンテキストを読み取ることをと心がけています。もちろんできることもできないこともありますが、背景を理解することで、どれくらいの温度感なのか、それが実際にどの程度グループや会社全体に影響があるものなのかを把握できます。そうした理解に基づいて、可能な限りのベストなアプローチを提案するようにしています。

チーフとしての役割で意識していることは、どこに進むのかを明確に発信することです。様々なジャンルの課題に向き合う中で、その解決策となるアプローチは多岐にわたります。
例えばあるシステムにセキュリティ上のリスクが存在するケースを考えたとき、利用を全面的に禁止してしまうという選択肢もあれば、運用改善や対策となるシステムを構築するなどの仕組みで解決する選択肢を取る場合もあります。どちらを選択するのが正しいかは、事業や会社の性質や状況によって変化します。会社とずれた意思決定をしていると、情シスの施策が成長の阻害要因になるリスクもあり、結果として「何のために情シスをやっているのか分からない」という状況に陥ってしまいます。それを防ぐためにも、自分たちの仕事がどこに向かっているのかを常に意識することが大切です。
チームとしてその意識を高い解像度で共有するためには、過去の歴史から繋がる今を踏まえたうえで、1年、3年といった将来を見据えて理想を描き言語化する必要があります。そのために、チームの中で一番長く会社のことを見てきた経験をメンバーに共有して目線を合わせていきたいと考えています。その場しのぎの解決策ではなく、中長期で価値を生み出す施策を考えるため、カルチャーを含めた会社全体への理解を深め、目指すべきゴールを示すことに責任があると感じています。
矛盾にも向き合い、掛け算で新しい価値を生み出していくために
SmartHRはこの数年で急速に規模が拡大したこともあり、1,000人規模になることを見越して導入していないシステムもあります。本来であれば将来の規模を見越した設計をして導入すべきで、本質的に変化に対応するのであれば今のフェーズに合わせて切り替えを行うのが理想です。しかし現状では、応急処置的な対応や運用変更によってツギハギ状態で規模に合わないモノが残ってしまっているという課題があります。
大規模なシステムや運用の変更は複数の部署を跨いだ業務フローに影響を与えるため、多くのステークホルダーを巻き込み、その人たちの動き方も変えていく必要があります。
そうした案件は、変更を開始するハードルも高く手がつけにくい一方で、変えなければならないものを放置すればするほど、課題はより大きく複雑になってしまう悪循環に陥ります。走り続ける会社の成長を止めずに変化に対応するには、「走りながらエンジンを変える」ようなトリッキーなことをしなければならない。
それでも、必ずしも理想の形ではないにせよ、現在の1,400人規模の組織を今の状態で維持できているのはすごいことです。優秀なメンバーが揃っていて、しっかりと仕事をしている証拠だと思います。
しかし維持するだけでなく、スケールアップ企業として、スタートアップ的なスピード感を持ちながら、エンタープライズ企業並みの成果を出していくという矛盾に向き合わなければなりません。変化を嫌って戦わずに負けてもダメだし、無謀な戦いを挑んで負けるのもダメなんです。

現在の大きな課題は、ナレッジやドキュメントが規模にあった形で整備されていないことです。単純にマンパワーを増やすだけでは、この先会社全体が更に早く遠くに行くことはできません。
個人の力を掛け算して、新しい価値を生み出さなければならない。しかし、現在のナレッジマネジメントの仕組みの中では、情報が上手く検索できなかったり、届くべき人に届かなかったりする問題が発生しています。
AI活用という文脈でも、情報を連携して新しい価値を生み出す上での課題は同様に存在しています。
1500人、3000人といった規模の組織で、全員が掛け算をして新しい価値を生み出せるような構図を作っていく必要があり、そのベースを作らなければならないフェーズに来ていると感じています。
ゼロからイチを創る、情シスとしての未来像
先日社内で「SmartHR AI Night」というAI活用のための勉強会を開催しました。主なターゲットは、これまでAIをあまり使ったことがない、あるいは使うハードルが高いと感じている人たちでした。ただ、ある程度AIに関する知識のある人も参加し、自発的に周りの人に教えてくれるのではないかという期待からワークショップ形式にしたんです。勉強会やその後の懇親会の中で実際にそうした動きをしてくれる人たちを見て、各部門の日常業務の中で同じような知識共有が行われれば、全体のボトムアップにつながるのではないかという仮説を持つようになりました。
AIの話に限らず、他の人に伝達できるナレッジや、今発揮している以上の潜在的なスキルを持つ人がいるのにそれが100%活かされていない。そんな状況を変え、知識の連鎖を生むような状態を目指したいんです。
ITやエンジニアリングの視点でアイデアを提示し実装する担当者として、技術や仕組みの力でそういう連鎖を生み出していきたいと考えていますし、そのスタンスを情シスの課題解決の理想として発信し続けていきたいとも考えています。

個人の将来の話でいえば、今の職種は情シスですが、人生の中で自分をそこだけに固定したくはないと思っています。今はSmartHRの情シス領域にも関わっていますが、今の専門領域以外でも必要とされることがあればどこでも飛び込んでいきたいと思っています。10年先のことは正直あまり考えていません。僕は飽き性なところがあり、同じことをずっと続けるのは苦手なんです。だからこそ「ゼロイチ」の仕事をしている側面もあります。常に新しい切り口で物事に向き合いたいという思いがあります。
情シスとしてやり切った感はまだないですが、一生情シスかと言われると、それも分かりません。ただ今この瞬間は、SmartHRという会社の成長をITの力で支えていくことに全力を注いでいます。
取材・文/@Miranda(カルチャー室)
写真/@ishimayu(カルチャー室)





