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SmartHRはまだスタートライン。Head of AIが語る、本番環境で勝負できる面白さ

2025年6月、SmartHRは「2030年に売上1,000億円」を目指すという、挑戦的な事業戦略を発表しました。この非連続な成長を実現するために重要な鍵を握るのが、プロダクトのAI実装です。

今回は、AI開発を牽引するHead of AI・金岡亮さんにインタビュー。
「SmartHRはまだスタートラインに立ったばかり」と語る金岡さんに、AIによって切り拓こうとしている事業の未来、そしてスケールアップ企業として急成長を続けていくSmartHRで働くことの面白さを聞きました。

この記事に登場するメンバー

  • プロダクトマネジメント統括本部 プロダクト基盤本部

    金岡 亮(かねおか りょう)さん

    2020年10月

    入社

    どんどん大通りに出て、フルスイングして社会にインパクトを与えていきたい

2020年10月にSmartHRに入社。タレントマネジメントプロダクト(従業員サーベイ、スキル管理、学習管理)、プロダクトグロースチームの立ち上げを経験したのち、2024年8月からHead of AI(プロダクトへのAI導入の責任者)となる。前職ではAI特化の受託開発企業でプロジェクトマネージャーやデータアナリストを担当。

目次

専任AI組織「AIインテグレーションユニット」の責任者を務める

ー まずはSmartHRに入社するまでの金岡さんのキャリアについて聞かせてください。

ファーストキャリアはメーカー系のシステム会社です。
SIerのSEに近い感じで、自分で営業に行って提案もしつつ、そのままプロジェクトマネジメントに入って分析もやる。そんな泥臭い働き方でした。わからないことは一つひとつ勉強して身につけていく日々で、この期間は本当に忙しかったですが、力をつけるにはとても貴重な経験でした。

その後、自社プロダクトの新規立ち上げや、機械学習ブームに伴うAIプロダクトの開発を指揮するポジションも任せてもらいました。そこで自社製品開発に興味を持ち、社会に良い影響をもたらすプロダクトをつくっている会社を探して、2020年にSmartHRに入社しました。

ー 入社後はPM(プロダクトマネージャー)を経て、2024年8月からは専任AI組織「AIインテグレーションユニット」を立ち上げ、SmartHRのAIプロダクト開発を推進しています。

入社後しばらくは、PMとして労務もタレントマネジメントも、一通りのプロダクトに携わりました。 数年経つうちに、LLMという技術が確立され、過去のブームとはまたフェーズが異なる「大きなAIブーム」が到来しました。前職の経験上、「これはやばいのが来たぞ」と直感し、その時に担当していたSmartHRのプロダクトにもAI機能を追加したんです。これが2023年にリリースした「従業員サーベイの自由記述回答要約機能」です。

ー  SmartHRのAI活用プロダクトの第一号ですね。

はい。その後、会社としてもAI開発を強化するべく、2024年に専任組織「AIインテグレーションユニット」を立ち上げました。“社内で一番AIに精通している者”として、周囲に背中を押してもらうかたちで責任者を担うことになって。

はじめは僕と専任のエンジニアの2名でしたが、今は12名の組織になりました。 2025年には「AI履歴書読み取り機能」「AIアシスタント」「AI類似従業員検索」などをリリースし、2026年に向けても開発を進めています。

「SmartHRはまだスタートライン」2030年に向けた現在地

ー 会社としては今年、「2030年に売上1,000億円」という大きな目標を発表しました。現在のSmartHRのフェーズをどのように捉えていますか?

率直に言うと、強い危機感を持つようにしています。組織もずいぶん大きくなって、社内に「うち、もうスタートアップじゃないよね」みたいな、ある種の安穏とした空気を感じることがあるのですが、いやいや、全然まだまだでしょ、と。

会社の規模拡大は、より大きな課題に取り組むための「手段」であって、成功の指標だとは思わないほうがいいです。SmartHRが社会にもたらしているインパクトはまだ微々たるもの。これからもっと大きくしていこうという道半ばなのであって、「落ち着いてる場合じゃない、今こそwell-workingという壮大なミッションに向かっていくべきなんじゃないか」と、強く思っています。

ー 勝負はこれからだ、と。

SmartHRは「働く人を支えるインフラ」となることを掲げていますが、たとえば電力・ガスや鉄道会社のような、社会基盤となる価値を提供できるようになってはじめて、インフラとして社会を支える存在であると言えます。日本の社会にインパクトを与えるなら目指すのはその姿であって、SmartHRはやっとスタートラインに立ったくらい。これからが本番なんです。

ー 2025年にARR200億円を超え、2030年までの5年で5倍に成長させる目標については、いかがですか。

ひとつのマイルストーンとして、目指すべき水準だと思っています。売上1,000億円が達成できた時、日本でのプレゼンスもある程度得られて、初めて「みんなの生活を支える企業」だと言えるようになるかな、という一つの代理指標のようなものだと捉えています。

目標達成までのスピード感も重要です。「50年後に1,000億円企業になります」では、僕が定年を迎えるまでにその姿を見られない。「2030年までに」というなら、そこを目指して自分も全身全霊で挑もうという気持ちにもなれますよね。

AIでどのように社会にインパクトを与えていくのか

ー これからのSmartHRは、AI技術を活用してどのようにインパクトを与えていくのでしょうか。

SmartHRの提供価値は、人事労務の効率化からスタートしました。これが圧倒的に評価されて事業の成長を支えてきたのは間違いありません。しかし現在、そしてこれからのSmartHRは、労務の効率化だけでなくタレントマネジメント領域にも事業を広げることで、社会に対してよりインパクトを与え、それによって非連続な成長を目指しています。

効率化は組織のコストを削るものであって、その視点だけでは企業のトップライン(売上)を伸ばす部分には貢献できません。極端にいえば、効率化の行き着く先で無駄なコストがゼロになったら、それ以上うちのプロダクトは伸びなくなるわけで。対して、タレントマネジメントは、従業員の成長をサポートし、事業の成長に寄与するものです。効率化を進めるのは当然のことながら、事業の成長にもコミットするプロダクトへと、すでにゲームチェンジは起こっています。

ー その中で、AIプロダクトの価値とはどのようなものでしょうか。

AIの本質的な価値ってなんだろう、というのは難しい問いではあります。僕が最近考えているのは、意思決定のような人間にしかできないところは人間が行い、それ以外を全部引き受けることで、より大きなイノベーションを生み出すところなんじゃないかと。

AIは過去の知識の積み上げなので、ゼロからイチを生み出すことはできません。ですが、膨大な情報や専門的な知識を高度に整理してアウトプットすることで、人間の意思決定のための仮説材料として役立ちます。たとえばタレントマネジメント領域なら、今まで見出されていなかった人材の能力にフォーカスが当たり、新しい機会が回ってきて、その人が活躍することで業績が伸びる。ここまで実現できて、初めてAIが会社の成長に貢献したと言えるわけです。

「このAIプロダクトは本質的な価値を提供できているのか?」という問いは、AIチームではもう、日々口癖のように繰り返されています。たとえば、単に「履歴書の文字情報が自動で読み取れて便利だね」がゴールではなく、そこから得られた情報で最適な配置を提案し、それによって従業員が成長する。そんな未来像まで見据えてプロダクトを設計しようと心がけています。

ー 人の成長、事業の成長に繋がるサポートをAIが実現するんですね。

「AIインテグレーションユニット」の立ち上げブログで、「私はSmartHRでAIを利用し、本気で日本のGDPを上げたい」と書いたんですよ。一人ひとりの生産量を増やして、日本企業がもっと成長し、新たな雇用を生む。結果としてSmartHRも成長する、というのが僕の野望です。これは絵空事じゃなくて、SmartHRなら実現できると本気で思っています。

ー すでにリリースされたAI機能の手応えはどうですか?

これからリリースされる機能も含めて、実際に使われてどうかという効果検証はこれからです。幸い7月にリリースしたAIアシスタントは売上的にも非常に順調で、設計時の仮説もしっかり的を射たものになっている手応えを感じています。今は着々と二の矢、三の矢を準備しているところです。

個人的にすごく嬉しかったのは、ユーザーから「使っていて楽しい」と声をいただいたことですね。仕事のツールを使っていて「楽しい」というのはなかなか出てこない言葉ですよね。どんどん使っていろんなことを試したくなるというのは、プロダクトがユーザーの課題をちゃんと解いていて、かつ期待を上回る提案ができていることの証左だと思うので。心の中に“いつでも取り出せる褒め”としてしまっておいて、つらいときには思い出しています(笑)。

 みんなが楽しく仕事ができて、かつ成果を出せるようになったら、社会の空気はもっと明るく変わると思うんですよね。そういう雰囲気の中でなら、誰もが前向きに新しいことに挑戦するようになると、僕は思います。

「本番環境で勝負できる」SmartHRならではの醍醐味

ー SmartHRならではのAIプロダクトの強みはありますか?

ユーザー企業様からお預かりしている膨大な従業員データ、そして顧客接点の豊富さは、他社にはない圧倒的な優位性ですね。 登録社数にして70,000社以上、さまざまな規模の企業の人事データをお預かりしているのは、AI開発にとっては大きなアドバンテージになります。

そしてSmartHRのスマートフォン向けアプリは今、100万以上のダウンロードにまで至っています。正社員から契約社員、パート・アルバイトまで、あらゆる職種・雇用形態の方が利用するビジネスアプリはほかにないんじゃないかと。その接点の中から日々見出される提案は非常に貴重なものです。 AIは単独では何もできないですから、こういったアセットが社内にあるのは、AI開発者にとっては唯一無二のチャンスだと思います。僕がSmartHRにいるのは、これが大きな理由のひとつとも言えますね。

── リアルなデータや顧客接点を活用できるというのは、開発者にとって恵まれた環境なんですね。

そうなんです。「AIで何ができるか」を模索する実証実験のフェーズは、もう超えています。

SmartHRは、数名規模の企業から、全国に展開するような小売店や飲食店まで、幅広い現場で実際に使われています。 皆さんの日々の暮らしのそばにある店舗でも、SmartHRのAIが動いている。実際にユーザーが日々利用する「本番環境で勝負できる」というのが、SmartHRのAI開発の一番面白いところじゃないかと思います。

どんどん大通りに出て、フルスイングして社会にインパクトを与えていきたい

ー 最後に、SmartHRのAI開発組織の今後についても聞かせてください。現在はどんなチームでAI開発に取り組んでいますか?

今、AI開発人材の採用は一番難しい課題だと思います。日本国内でAIを自社開発している企業は片手で数えるくらいしかなくて。パイが小さいんですよね。 でも幸いなことに、僕たちのチームのエンジニアは超優秀な人材揃いなんです。立ち上げたばかりのチームに加わってくれて、本当にありがたいです。工学で博士号を取得している人もいれば、他社でAI開発のリーダー経験のある人、まとめサイトの運営のために独学でレコメンドエンジンを組めるようになったエンジニアまで、多様な人材が揃っています。日本一のチームになるぞという手応えは確かにある。このまま突き進みたいです。

── これからもチームは拡大していきますが、どんな人にジョインしてほしいですか。

あくまでリアルなフィールドでAIに取り組みたい、という人がいいですね。ユーザーに影響を与える、そしてフィードバックを得てさらに改善していくことでどんどんプロダクトが良くなっていく、そこに面白さを見いだせる人。先ほどお話したように、本番で闘える大きなフィールドが僕たちにはあります。

自分たちが開発したAIの技術が、人口の何パーセントに影響を与えてハッピーにできるか、と考えると興奮しますよね。どんどん大通りに出ていって、フルスイングして大きなインパクトを出していきましょう!

編集/@fujiryo
写真/@okie

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