Real SmartHR - リアスマ

リアルなSmartHRを

お届けするメディア

SaaS×コンサルで挑む、DX格差の解消。KICK ZA ISSUE代表とSmartHR COOが語るM&Aの狙い

    SmartHRは2026年1月9日、ITコンサルティングやシステム開発、BPOなど一貫したDX支援サービスを提供するKICK ZA ISSUE株式会社をグループ会社として迎えました。これはSmartHRが掲げる「2030年に向けた事業戦略」において、ITコンサルティングや情シス支援といったSaaS以外の領域へと事業を拡張していくための大きな一歩となります。

    この記事では、KICK ZA ISSUE代表取締役の石川慶さんとSmartHR取締役COOの倉橋隆文が、M&Aの背景、そしてSaaS企業とITコンサルティング会社である両社の共創を通じて、どのような新しい価値提供を目指すのか。その展望を語ります。

    KICK ZA ISSUE株式会社 代表取締役 石川慶さん(写真左):
    一橋大学卒業後、新卒で外資系コンサルティングファームであるEYに入社。ITコンサルタントとして製造業おける基幹システム刷新プロジェクトのPM/PMOに従事。その後、独立系ITコンサルティングファームに移り、クライアントのDX戦略立案から実行支援をリード。同ファームでは、当時最年少でシニアマネージャに昇格。その後、KICK ZA ISSUE株式会社を設立し、現職。
    
    株式会社SmartHR 取締役COO 倉橋 隆文(写真右):
    2008年、外資系コンサルティングファームであるマッキンゼー&カンパニーに入社し、大手クライアントの経営課題解決に従事。その後、ハーバード・ビジネススクールにてMBAを取得。2012年より楽天株式会社にて社長室や海外子会社社長を務め、事業成長を推進。2017年にSmartHR入社、2018年1月より現職。

    M&Aの背景 —ITコンサルとプロダクトを掛け合わせ、価値提供の形を変える

    —今回のM&Aの背景について聞かせてください。

    倉橋:SmartHRは人事労務を効率化するSaaSとして成長し、現在はタレントマネジメントへと価値提供の幅を広げています。2030年に向けた事業戦略では、人事領域以外にも広げたDXを通じて日本企業のさらなる生産性向上・業績強化に貢献する企業への進化を目指しています。その実現には、プロダクトの機能拡張・品質向上と並行して、情シス部門の支援や、BPO(業務代行)といったSaaS以外の領域への拡張が不可欠であり、企業のIT戦略の立案から統合的に価値を提供できる企業体であることが求められます。

    現在、企業規模を問わずDXは進んでいますが、DX戦略を推進し、IT運用を担う人材の不足は深刻なボトルネックとなっています。私たちSmartHRは、プロダクトを通じて、業務の効率化や働きやすさをより高める取り組みを進めてきましたが、システムや仕組みを提供するだけでは、この課題は解消できないとも痛感しています。

    石川:私たちも業務を通じ、IT人材不足という課題に常に直面しています。DXへの投資が進む一方で、社内の情シス担当は1〜2名といった体制も珍しくありません。特に非IT企業ではなおさらです。セキュリティやインフラの体制の整備が急務である中、人材不足がDXを阻害する要因にもなります。

    こうした課題に対し、KICK ZA ISSUEでは2024年からクラウド型の情シス代行サービス「KICK OPS」を開始しました。受注率と継続性は非常に高く、ニーズの大きさを実感しています。

    倉橋:この人材不足は今後10年は続くと考えられる課題です。KICK ZA ISSUEが持つコンサルや運用支援の実行力と、SmartHRのAIを含むテクノロジー基盤を掛け合わせることで、より高い付加価値を社会に提供していく。それが今回のM&Aの意図です。

    —互いに、どのような点に魅力を感じての決断だったのでしょうか。

    倉橋:KICK ZA ISSUEは、ITコンサルとしての豊富な実績を持ちながら、BPOを通じて現場の運用までを担い、そこから得た知見を次のITコンサルティングへと繋げるサイクルを築いていました。こうした点は、SmartHRが描く「SaaSの枠を超え、戦略設計から現場の運用までを一気通貫で支える」という将来像を実現する上で、同じ課題意識を持って進めるパートナーだと感じました。2025年春に初めて石川さんとお会いした帰り道、同行した社員と「最善のパートナーだね、この話はぜひ実現したいね」とテンション高く話したのを思い出します。

    石川:実は倉橋さんにお会いするまでは、ITコンサルティング事業を主軸に順調に成長を続けていましたし、M&Aは念頭にはありませんでした。一方で、コンサルティングという労働集約型モデルだけで急成長を続ける限界も感じていました。

    この壁を突破するため、私たちはAIプロダクト開発への投資も始めながら、労働集約的なコンサルティング事業と自社プロダクトを掛け合わせ、お客さまのDX課題をより効果的に解決していくという未来像を描いていました。

    そんな折に受けたSmartHRからの提案は非常に魅力的で、両社が目指す方向性が一致していると感じました。SmartHRと組むことで、自社が描く未来へより早く、より大きく飛躍できると判断し、決断に至りました。

    DXのボトルネックを解消する「パランティアモデル」「AI BPaaS」の先駆者へ

    —両社の共創によって展開するビジネスモデルについて、もう少し詳しく聞かせてください。

    倉橋:私たちが目指しているのは、近年のITコンサルティングやSaaSを取り巻く世界的な潮流となっている「AIを含む高度な実装支援」と「AI BPaaS」の社会実装です。

    「AIを含む高度な実装支援」の前提として、SmartHRのシステムは急速に進化していて、AIを含む高度な機能は今後も増えていきます。もちろんお客さまが使いやすいように作っていますが、企業ごとの最適な設定をするには、専門家の支援があった方が良いお客さまも多くいらっしゃいます。両社が一緒になることで、このような支援が可能になりますし、また専門家の支援があることでSmartHRもより柔軟性を高めていけるとも思っています。将来的には最近話題の「パランティアモデル」に近づいていく可能性も感じています。

    もう一つの「AI BPaaS」は、AIやSaaSといったプロダクトに、BPOを組み合わせることで、人手不足や運用負荷といった課題を解決していくモデルです。これまで人が張り付かないと回らなかった業務を、テクノロジーと役務を組み合わせて担うことで生産性を高め、より多くの企業がDXを推進できる環境を整えます。

    私たちは、この二つの潮流が、これからのIT支援の中心になっていくと考えています。この領域には、世界を見渡してもまだ圧倒的なプレイヤーが存在しません。だからこそ、私たちは今このフェーズから本気で挑みます。

    DX格差を越え、フェアにテクノロジーへアクセスできる世界へ

    —具体的に、両社の共創でどのような価値提供が可能になるのでしょうか。

    倉橋:まずITコンサルティングの戦略立案の領域については、SmartHRの色を前面に出さず、あくまでKICK ZA ISSUEの独立性を保って進めていきたいと考えています。特定のプロダクトありきの提案は、本来あるべき課題解決からずれ、提供価値を損なうことになりかねません。ITコンサルとしての中立性や信頼性は、何よりも大切にしたいと思っています。

    一方で、情シス支援をはじめとするBPOの領域では、考え方が少し変わってきます。多くのお客さまが求めているのはシステム自体ではなく「課題の解決」です。BPOにSmartHRのプロダクトをはじめとするテクノロジーを最適に組み合わせることで、より生産性の高い形で課題解決を図っていきたいと考えています。結果的には提供コストを下げることができ、お客さまにとっても大きなメリットとなります。

    石川:実際、情シスの現場では、ID管理一つを取っても相当な人的負荷がかかっています。定型的な業務はテクノロジーに任せ、どうしても人が介在しないと解決できない部分を役務として支援する、その組み合わせが最も合理的だと感じています。

    倉橋:たとえばSmartHRの「AIアシスタント」機能を活用すれば、情シスに寄せられる日々の問い合わせの多くを、まずはテクノロジーで受け止めることができます。判断や調整が必要な部分だけを人が担うことで、BPOとしての運用もより効率的になりますし、お客さまに提供できるスピードや品質も高められると考えています。

    石川:SmartHRのプロダクトが情シス領域へと拡張を始めている今、私たちが持つ人的なリソースや現場での知見と、SmartHRのプロダクトを掛け合わせることで、より大きな付加価値をお客さまに提供できるはずです。そうした可能性に、とてもワクワクしています。

    また、もう一つ大きな可能性があるのがエンタープライズ(従業員2,001名以上の企業)の領域です。私たちはこれまで、ERPの導入を数多く手がけてきました。今後、SmartHRがエンタープライズ向けにも基幹システムとしてさらに進化していく際、導入やインプリメンテーション(システムの実装)の局面で、私たちの経験は大きな価値を発揮できる自信があります。

    倉橋:IT戦略の立案から導入・運用までを自社で回せる企業は、DXが進み、どんどん強くなっていく。一方で、そうした体制を整えられない企業も、日本にはまだたくさんあります。今回の取り組みでは、システムの提供だけでなく、役務としての支援も含めて価値を届けていくことで、そうしたDX格差がこれ以上広がらないようにしたいという思いも込めています。誰もがフェアにテクノロジーへアクセスできる世界をつくっていくことが、私たちが目指している姿です。

    広がるコンサルとして支援できる領域の「深さ」と「広さ」

    —最後に、今後のKICK ZA ISSUEで働く魅力について教えてください。

    石川:SmartHRのような強力な「プロダクト」と「顧客基盤」を持つ事業会社と、ITコンサルティングが組むケースは、実はそれほど多くありません。両者が掛け合わさることで、より大きな付加価値をお客さまに提供できるだけでなく、支援できる領域の「深さ」と「広さ」の両方が広がっていくと感じています。

    ITコンサルティングの対象は従業員2,000名を超えるようなエンタープライズ企業中心になりがちですが、私たちは情シス支援といったいわばスモールな課題から入ることもできますし、SmartHRが持つSMB企業(従業員〜500名規模の企業)向けの幅広い顧客基盤まで幅広くアプローチできます。

    AIやテクノロジーをSmartHRと共に最大限に活かすことで、今までのコストモデルでは提供が困難だったSMB企業に対しても、より広範囲な領域にまで影響を及ぼすサービス提供が行えるようになると考えています。こうした新たな事業モデルそのものを構築していくことは、これからの大きな挑戦になります。

    また、ITコンサルタントにとってのキャリアの選択肢という意味でも、「テック×コンサル」というキャリアは、これからさらに魅力的な選択肢になっていくのではないかと感じています。

    倉橋:少し先の話になりますが、SmartHRとしては、将来的に海外展開にも挑戦していきたいと考えています。KICK ZA ISSUEはすでに海外での取り組みを進めていますし、そうした知見を活かしながら、一緒にできることも広がっていくはずです。

    石川:ITコンサルティングの課題は、日本でも海外でも本質的には共通しています。現在、私たちはアメリカ・シリコンバレーに拠点を構えていますが、今後はさらに海外事業を伸ばしていく予定です。英語を使ったコンサルティングや、グローバルな環境での挑戦を求める方にとっても、可能性は広がっていくのではないでしょうか。

    倉橋:KICK ZA ISSUE社の独立性を担保すべく、人事制度もSmartHRとはあえて別にしておく方針です。ただその中でも、海外進出に限らず、人材の交流なども含めて、いろいろな可能性を検討しているところです。

    石川:これからの挑戦に向けて、仲間はまだまだ必要です。本気で新しい価値をつくりにいくフェーズだからこそ、KICK ZA ISSUEは採用にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

    倉橋:私たちの挑戦を、ともに楽しみながら前に進んでいける方と出会えたらうれしいですね。

    編集/@fujiryo
    写真/@okie

    この記事をシェアする

    XでシェアFacebookでシェアLinkedInでシェア

    おすすめの記事

    リアスマに登場するメンバー

    ホーム

    SaaS×コンサルで挑む、DX格差の解消。KICK ZA ISSUE代表とSmartHR COOが語るM&Aの狙い