こんにちは。SmartHR CEO の芹澤(@masato_serizawa)です。
経営者のみなさん、ネットワーキングパーティは好きですか? 交流会とか懇親会とも言われたりするやつです。
正直なところ、僕は苦手です。
僕が元々内向的な性格ということもあり、大勢の初対面の人と怒涛の勢いで名刺交換を行うこと、そして、会話を通して情報を得たり人脈を築くことが苦手というのが大前提としてあると思います。MBTIはINFJ※です。
※ INFJ(アイ・エヌ・エフ・ジェイ)とは、MBTI性格診断で「提唱者(Advocate)」と呼ばれる性格タイプで、I=内向、N=直観、F=感情、J=判断の頭文字を組み合わせたものです。深く共感する力と高い理想を秘め、人の役に立つことに喜びを見出す一方で、内向的なため物静かで控えめな一面もあります。 でも、仮に僕が「ものすごいコミュ強」だったとしても、経営者としてネットワーキングパーティに参加することが良い時間の使い方を考えると、正直かなり怪しいと思っています。
とはいえ感覚的に「効果は怪しい」というだけだと説得力が皆無ですし、僕も自信を持ってこの「ネットワーキングパーティーの効果が怪しい説」を唱えられないので、メリット・デメリットを整理しながらネットワーキングパーティへの参加という時間の使い方について考えてみたいと思います。
ネットワーキングパーティで得られるもの
かくいう僕もこれまでに何度もネットワーキングパーティには参加してきています。その中で「価値があった」と感じたことがいくつかあるので、まずそれを整理してみます。
1. 偶発的かつ有意義な出会い
パーティ会場で多様な人に会うことで、考えてもいなかった協業のヒントや、後に事業や組織に大きな影響を与えてくれるキーパーソンと出会える可能性があります。おそらく、多くの人がネットワーキングパーティに求めているのはこの価値だと思います。初期フェイズのスタートアップだと、投資家とのマッチングなどもあるでしょう。
僕も、パーティで知り合った人と仕事の話で盛り上がった結果、協業したり自社イベントに協力してもらう関係に発展したことが何度かあります。これらは、パーティに参加することで偶発的に得られた価値だったと言えます。
2. リアルでしか起きない情報交換
パーティでの交流を通して、ネットでは得られない業界の(裏)話や人の熱量、具体的な景況感を肌で感じられることがあります。どんなに情報社会が発展しても、オフサイトでしか得られない情報は一定あるわけで、これもネットワーキングパーティの醍醐味といえるでしょう。事業運営という観点で、このような一次情報を手にすることは、意思決定上の重要な役割を果たすケースもあります。
僕も先日サンフランシスコ出張でとあるAI系のイベントに参加しましたが、そこでしか得られない情報や空気感をまじまじと感じ、大いに影響を受けてきました。
3. 自社の売り込み
自社の事業形態によっては、ネットワーキングパーティでの交流が商談機会の創出につながる可能性があります。おそらくみなさんも、パーティに参加した際に熱心に自社事業を説明したり、された経験があると思います。SmartHR社も初期フェイズではスタートアップが集まるようなイベントに積極的にブースを出展し、貴重な商談機会の創出や認知獲得の一助となっていました。
それでも課題感はあるので、規模別に整理してみる
上の3つを見て「結構な恩恵を受けているのでは?」と思われた方もいるでしょう。確かにメリットはあります。それでもなぜ課題感を覚えているのか、頭の中を整理してみると、規模に応じて3つの方向性に整理ができました。
規模 | よくある開催形式 | 主な参加者 | 無意味レベル | 問題点 |
|---|---|---|---|---|
大規模(81名以上) | 立食形式、会場貸切。参加者のくくりは「スタートアップ」や「上場企業」など広範囲に渡る | 営業担当、事業開発、起業家、ビジネス関係者と幅広く、ほとんどが初対面の人 | 大 | 一見華やかで楽しく感じられるが、目的や属性が曖昧で得られるものがほぼない |
中規模(31~80名) | 着席形式や一部立食。「〇〇界隈交流会」「〇〇勉強会/イベントの懇親会」など、一定のテーマが設定される | テーマに関連した部署のメンバーやマネージャーなど。知り合い・初対面が混合 | 中 | アジェンダや参加者次第で良い場にもなるし無意味な場にもなる |
小規模(数人〜30名) | 具体的なテーマや課題を元に、紹介やクローズドな場での呼びかけによって集客される | 特定領域の専門家、共通の課題意識を持つビジネスパーソン。知り合い・初対面が混合 | 小 | 参加者の属性も近く、テーマもシャープかつ深いので有意義な場となることが多い |
こうして分類してみると、僕の場合は規模が大きいパーティほど「無意味」や「苦手」と感じる傾向にあることに気がつきました。
一方で、信頼できる人が企画したり、実績のある小規模なパーティは、テーマが具体的なため質の高い意見交換や関係構築に繋がりやすいため、費用対効果への疑念を抱きにくいですし、苦手意識も特に生まれません。
つまり、すべてのネットワーキングパーティーに意味がないということではなさそうです。
大規模ネットワーキングパーティというカオス
では、なぜ僕の場合は大規模ネットワーキングパーティに意味を見出しにくいのかを考えてみます。
まず、前述の通りテーマが曖昧で集まる人も極めて多様であり、具体的な課題意識や深い信頼に基づく対話や紹介が生まれにくいことが挙げられます。その結果、総じて会話の内容は当たり障りのないものになり、ネットや専門誌で得られる以上の情報は圧倒的に少ないことがほとんどです。
他にも、パーティー会場で久しぶりに友人・知人に会うこともあって楽しい時間を過ごすこともあります。飲み友達ができるかもしれません。でも悲しいことに、それだけでは事業には何のプラスにもなりません。
また、次から次へと名刺交換をしていくと「話題の会社の役職者」や「大企業の役員」と出会うこともあり、なんとなく「参加した価値があった」という感覚を得ますが、僕の経験上、そのような方々との出会いが事業成長につながったことはほぼありません。自分の人脈を増やしても、事業への貢献に繋げられなかったら、その出会いには意味がないのです。
自社の売り込みについても、そのパーティー前のメインイベントで登壇したとか、界隈で力を持つ人に紹介してもらうとか、そういうものがなければ紹介される側からすると “one of them” で終わってしまい、その後の関係性には繋がりにくいです。
事業の性質やフェイズによっては参加者がそもそも潜在顧客や意思決定層ではない可能性もあります。実際にSmartHRという事業に関していうと、僕が呼んでいただけるような大企業経営者のネットワーキングパーティに参加する方が直接の意思決定層であることはとても稀です。僕らの例に限らず、役職者自らがトップ営業をする場として機能する条件は意外と狭いのではないのでしょうか。
もちろんあらゆる時間の使い方を比較して「経営者としてネットワーキングパーティーに行くことがベスト」と判断するのなら全然良いのです。また、経営以外の立場によっては大規模ネットワーキングパーティーが非常に有効な場になるなどもあるのかもしれません。
あくまでも「なんとなく行って、なんとなく満足(仕事)した気になる」という行為を最も避けるべきという話であり、それが顕著に出るのが大規模ネットワーキングパーティーではないかという仮説です。
最高のネットワーキングは「事業への集中」
総じて、今の僕が置かれている状況においては、大規模なネットワーキングパーティへの参加は、時間の使い方としては非常にラグジュアリーであると考えられます。その時間を事業のボトルネック解消や組織運営の改善に使う方が、圧倒的に成果につながると考えます。
そして、最高のネットワーキングは、自社の事業を成功させることであるとも考えられます。
事業で成果を出せば、様々な方々からクローズドで自然と声をかけていただけるようになります。また、それなりの規模のパーティに参加した際も「登壇する側」や「専門家側」として振る舞えるようになり、前述のネットワーキングパーティの効用を享受しやすくなるというメリットもあります。
経営者としての限られた時間を、自社の事業や組織をよりよくすることに優先的に使い、結果としてネットワーキングパーティを有意義な武器として使えるようになる。鶏卵のような話かもしれませんが、僕はこのやり方が良いと感じます。
繰り返しになりますが、ネットワーキングパーティに参加して楽しむと満足感は得られますが、事業成長に繋がらなかったらそれは「偽の仕事」です。
人類に平等に割り当てられている時間という貴重なリソースを使う価値のあるものなのかどうかはネットワーキングパーティーしかり、その他のあらゆる活動においても自身に問い続けていこうと思います。
Appendix
この記事を書いたことで僕はもう大規模なネットワーキングパーティーにはもう一生呼ばれなくなってしまった気がしますが、テーマや参加者がシャープな場でしたら興味はありますので、どうか見捨てないでください。
ところで、引き続き月に1〜2回のペースでこのコーナーを更新していく予定です。一方、記事を書くのもいいけど、Xでの細かな情報発信も大切だなと思い、そちらも強化し始めています。ぜひ @masato_serizawa をフォローしていただけると嬉しいです!





